top of page
検索
執筆者の写真Mariko Itagaki

京都~信濃~横浜、旅

旅日記。「津軽のカマリ」http://tsugaru-kamari.com/

やはり日付順で行きましょうか?

まず京都から。金閣寺と紅葉はすでにFbアップ済み。今回の目的は、映画「スケッチ・オブ・ミャーク」と「津軽のカマリ」。実は・・・私、「スケッチ・・・」は観るのこれ三回目で。まずは、沖縄に住んでいた頃。ミャーク、つまり宮古島で上映会があるとのことで。この映画のきっかけをつくった音楽家でプロデューサーの久保田真琴さんが以前からの知り合いだったこともあり、島まで出かけて。いやあ、出演しているおばあたちと一緒に観るのは楽しかったです。「あ、なんとかさんだぁ」とか。

なにより、沖縄、宮古の霊的な世界にも接することもできるし。そうなんだよねぇ~、と今回も納得しつつ、反芻しました。

で、「津軽のカマリ」は初。カマリとは、津軽の言葉で「匂い」とか「雰囲気」という意味。この映画、両方共の監督さんでいらっしゃる、大西巧一さんとは宮古で初対面。それがこうして京都まで映画を見に行く流れになるのですから、人のご縁も楽しいです。

映画、感動しました。高橋竹山さんの津軽三線の音色! いいですねえ。実は、私、子供の頃から大好きだったのです。津軽三味線、そして竹山さん。何故かといえば、母が日舞の舞い手だったこともあり、日常的に家で三味線の音がいつも流れていた。長唄もいいけど、津軽三味線好きだなぁ、というのがその頃の記憶。そして、今回、映画で懐かしく聴いて。

凄いです。まず何と言っても音色。甘いのです。

高橋竹山さん、もちろんご存じの方も多いと思いますが、視力を失ったことでずいぶん苦労をされたらしく。小学校の時に入ったらすぐに虐められて2日で学校をやめた、って。そして三味線の道に入ったのね。もともと三味線が好きだったらしく。才能もあったのでしょうね。津軽で目が見えない人は、男性は三味線弾き、女性はイタコになった、らしい。竹山さんも、門付けして弾いて歩かれたそうだけど、その時にもまだ石投げられたり、長く雨が続くとお金が無くなってしまって大変だったり。ずいぶんな苦労を。

でもね、音にぜんぜん、苦労が出ていないの。それが凄い。すっごく透明なの。もちろん、太くて強い音よ。でも綺麗なの。そして、甘いの。人々をぐっと弾き込み、楽しませる音ね。ご本人も、過去に撮影された動画の中でそうおっしゃつてた。(もちろん故人です)そしてこうも言っていた。皆さん、生きているうちに美味しいものたくさん食べて、楽しんで生きてくださいね、て。

もう、その動画の頃には、成功して名声もあり、以前よりもずっとずっと幸せだったと思う。でも人の事を想う気持ちは変わらない。そして、私が思うに、竹山さんは人を喜ばすためだけではなくて、本当に自らがその発する音を楽しんでいたのだと思う。弾くことが幸せだったのだと思う。「生きていくために弾いている、弾かなければおまんま食べれない」というようなセリフもあったけど、けっしてそれだけではない。この世の酷さもたくさん身に受けながら、あの素晴らしい音を出すって、遥か高みに行ってしまったからできるのね。

「自分の罪をすべて込めて弾いている」というセリフもあったけど、竹山さんは別に悪いことしたわけではない。けっして罪ではなくて、言い換えれば業でしょうか? そういう運命に生まれついて、それを担ぎながら生きていく。でも、弾いて弾いて、生きていくうちに、それは高みにある音として浄化されていく。その凄み。

それを感じるから、皆も喜ぶ。

学ぶことがものすごくあったわ。いかにこの世が酷くても、こちらに悪意を持ったり、ひどいことをする人がいても、自らが高みに上ることで乗り越えることができるのだって。なにか崇高なものをみている気がした。私もこの歳になって、そういうことはわかっているつもりだったけど、再度しっかり肝に銘じて把握できた気がした。映画見ることが凄い体験だった。

あと、登場する内弟子さんたちもものすごく皆、上手いのだけど、興味深い台詞が。「あの音はね、出そうと思っても出ないわね。でも、ひとつだけ言えることがある。目の見えない人は、あの音が出るの。出る、出る。。。」

音って何でしょうね、不思議ね。三味線だけではなくて、ギターもピアノもサックスもすべて、その人の出す特別なそれぞれの音。

いくつも感動したポイントはあったけど。最後に一つ。長年、弾き続けてきた竹山さんも、晩年は体調を崩す。それでも弾きに聴衆の前に出てきた彼。そこにいる人たちは、皆、長年竹山さんの音を聴いてきた人たち。(映画の台詞で正確な言葉ではない記憶だけど)

「皆さんは、私のもっともいい時の音を聴いてきてくださった。今は、弾けなくなった竹山を聴いてください」

わあ、泣ける。泣いたわ。わかる、その覚悟。でも、その音もまた素晴らしかったの!


そして、ライブ。今回、わざわざ京都まで出かけた理由はこれ。大西監督にも、ぜひ観て聴いてほしい、と言われ。じや、行きますって。

東京月桃三味線さん。でも京都在住のお幾つか知りませんがまだ若い三味線弾きさん。この方の音がまた良いのだわ。

やはり、透明なの。そして力強い。三味線の音ってどうして人によって違うのかしらね。最初、写真を拝見した時には勝手に小柄な人かと思っていたら、とっても背が高いのです。そして、目を閉じて、自らが作り出される独特の間の中で漂うように弾いていく。

「竹山さんの音に似ていると言われて・・・」と言っていたけど、そう思う。そして、竹山さんのお弟子さんだった、高橋栄山さんのお弟子さん。つまり竹山さんの孫弟子、ということになる。これからまだまだ楽しみな演奏家だ。

この上映は、京都の「おもちゃ映画ミュージアム」というところでありましたが、そこの方もとても気に入っていらっしゃるようで、ぜひ今度ライブを・・・と話されていました。

こちらでもやってくれないかなぁ・・・と思ったり。

映画に関しては、まだ感じることもありましたが、あまりにも長くなるので、この辺りで。書ける時があったらまた。

上映スケジュールは、上のURL で。





閲覧数:41回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


BACK

bottom of page